いま、ここにこうしているはずのぼくが、ここから30キロ離れた居酒屋のパイプスペースで目をさます。

そっちのほうのぼくは、ぼくと違ってとても明るく快活で、
世界ではじめて地上3000メートルの上空でエビフライを揚げることに成功する。
と、エビフライが揚がったところでタルタルソースがないことに気づく。
3000メートルの上空では売っている店はないし、いちからつくろうにも材料がない。

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まあ、ともかく偉業をなしとげたことには間違いない。
もうひとりのぼくは、すっかり気持ちを切り替え、エビフライを食べ終えると、明日はなにをこの上空3000メートルで揚げようか、得意の星占いで決めることにするのだった。


そして、
いま、ここにこうしているぼくは、これからも戸惑いながら生きつづける。

おしまい