水上温泉の露天風呂につかりながら、ブリと大根の兄弟がなにやら話している。
「同じ魚として許せねぇ」
兄のブリが低くうなるように云うと、弟の大根も、
「ああ、オレもさ……あ、オレは野菜だけど」

ブリと大根の兄弟は、新巻鮭が海底に偽造回鍋肉の巨大キッチンをつくって大儲けする前に、
ツケを残したまま逃げた呑み屋の店主だった。
兄のブリはそのときのショックで、店のことはそっちのけで、スマホゲームと石窯でのピザづくりにのめり込み、すっかり〔浪費家のブリ〕になってしまっていた。

そんなある日、
竜田揚げの業界誌〔週刊竜田〕の記事で、ツケを残したまま逃げた新巻鮭が竜田揚げでも大儲けしようとして、竜田揚げの権利と自由を蹂躙し、告訴されたことを知り、
兄のブリは激怒した。

兄のブリは云う。
「うちにあんなにツケを残しておいて、また金儲けを考えていやがる!」
弟の大根もつづいて、
「どこまでふてえ野郎なんだ!」
兄のブリは決心して云う。
「弟の大根、オレはもうスマホゲームも石窯でのピザづくりもやらねえ!」
弟の大根はよろこび、
「ほんと?兄さん!」
「ああ、ほんとさね。その代わりに、オレは復讐する!新巻鮭にな!」

温泉から出ると、ブリと大根の兄弟は、
路上で歌っていた兄弟フォークデュオに憑依する。
兄のブリはデュオの兄に、
弟の大根はデュオの弟に。

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そして、兄のブリは、店の常連客でやはりツケをたいそうためている地元の警察署長に電話する。
「ちょっと頼みたいことがござんしてね…」