国道沿いのつぶれたドライブインで、ぼくは目をさます。
駐車場で数十人の男女が集まって、なにか話し合っているのが、窓から見える。
あの人たちはスポーツ選手だと、ぼくは直感する。
おそらく、スポーツ選手の社会的地位の向上を目指す一派の会合だと推測する。
しかし、本当はみんなしてぼくのことをあざ笑っているのではないか?


電話ボックスに入り、学生時代、友人だった男に電話する。
友人だった男は、当時のかれに対するぼくの態度を非難する。
「おれはずっと我慢していたんだ」
そして、
「地元の梨を送るよ!」
と云った。


どこにでもあるような喫茶店で、コーヒーを飲みながら、ぼくは人を待っている。
と、店員が来て、待ち合わせの相手から店に電話が入り、伝言を預かったと云う。
「君のことで、君のお父さんは、生前だいぶ困っていたんだよ」と。
それはそうだろうな、とぼくは思う。


帰り道がわからなくなったぼくは、雑居ビルの屋上で途方に暮れている。
見る限り、高速道路しかなく、当然自転車では通れない。
それより、
そもそも、
ぼくはどうやって、ここに来たのだろう?
地図アプリで調べると、◯◯大学の敷地内を突っ切れと出る。しかし、勝手に大学のなかに入ったりして大丈夫なのだろうか?
父に訊きたいが、父はもういない。


雪だるまは、気候があったかくなったために溶けて、地面に染み込んでゆく。
お地蔵様は、マリンジェットからドボンと海に落ち、ゆっくりゆっくり海の底へ。

……というのは、すべてぼくの妄想で、願望かもしれない。

実際は、
中肉中背の見たところ温和な住職は、IT起業にスカウトされ、IT関連の住職になり、
近所の美食家でもあるサッカー選手は、宇宙へ飛び立った。

すべては、天使のおかげで。

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ぼくは土手の斜面に座って、『絵を描くこと』について考えている。
と、
川の向こうの土手の上を、人が走ってゆくのに気づく。
あれは、ぼくが『絵のなかに描いたぼく』だ。
絵のなかに描いたぼくは、どんどん走ってゆく。
どうやら絵のなかのぼくは本当のぼくより正直らしく、
やがて、かれはもうなくなってしまったぼくの生まれた家にたどり着いた。

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けれども、そういう絵を描いたのはぼくだ。


つづく